工事の記録
RECORD OF CONSTRUCTION

プロジェクトの目的と外観


ABOUT PROJECT

プロジェクトの目的

 東京木材問屋協同組合100周年記念事業の最大の目玉は、木材流通の中心地である新木場に『木材会館』を建設するプロジェクトです。木材需要の低迷する現在、都市部の建築において、いかに木材を使って安らぎを感じる魅力的な空間を作るか、地球環境に貢献できる建物が出来るかを探求したプロジェクトです。
 「木材を使用する」という建物のメインテーマから、加工技術・流通・安全性・防火・構造・エコロジー等の様々な観点で木材の使い方を考え直しました。『木材会館』全体が現代の建築に木材を使用する為のノウハウの核となり、これからの建物に木材をより自由に使ってもらえるきっかけになるようにとの思いで計画しました。
 さらに、木とともに生きてきた日本の風土について考え直し、現代における新しい木と建物の係わりを提案しています。

『木材会館』へようこそ

 新木場駅を下りて駅前広場を見渡すと、さくらの木々の向こうに『木材会館』が顔を覗かせています。広場の西側を通って交差点に出ると、『木材会館』がその全貌を表します。檜の角材でコンクリートと鉄の構造躯体を覆い、安らぎとぬくもりの外観を形成しています。

建物の外部に木材を使用する工夫

 「木材は燃える」という既成概念から、永く建物の外部に木材を使用することは避けられてきました。しかし、ここで重要なのは、材料が可燃かどうかではなく、火災の際に建物が安全かどうかということです。『木材会館』では、耐火性能の高い鉄骨鉄筋コンクリート造で構造躯体を形成することにより、万一火災が発生し、外壁が炎にさらされても安全な構造にしています。又、外壁が炎上した場合でも上階へと燃え広がることがないように、階の途中に不燃処理を施した燃えない木材をファイアーストップ材として設置することで、火災の拡大を防ぐ構造になっています。こうした工夫を施し、防災の専門家に耐火に対する評定を検証いただいて、外壁に木材を使用しても安全な建物を実現しました。

檜の角材でコンクリートと鉄の構造躯体を覆い、安らぎとぬくもりの外観を形成しています。

檜の角材と鉄、杉の木目を映したコンクリートが奏でるコントラスト