東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.64


「自然の叡智」
「愛・地球博に行ってみよう」
愛知万博 No. 3(現地報告)

青木行雄


 日を追うごとに入場者が増えて来た。5月連休中の4日には,好天に恵まれ最多の15万人に達したと言う。人気の日立グループ館では最大の6時間待ちとなるなど企業パビリオンを中心に大変な混雑ぶりであったと報道された。そして,会場アクセスのリニアモーター「リニモ」と地下鉄が接続する名古屋市の藤が丘駅では午前中に一時,乗車するのに1時間かかったと混雑する状況がテレビに放映された。地球博の内容がだんだん知れ渡って来たせいかも知れない。

会場の近くを走る「リニモ」,東海一の高さを誇る全高88mの大観覧車から撮影した。「リニモ」は3両編成で座席定員104人,乗車定員244人,一度の輸送能力の定員である。

  今回は始めにこの交通機関リニアモーター「リニモ」について少々説明しておきたいと思う。

 「リニモ」とは,常電導吸引型磁気浮上式リニアモーターカーの略字である。
  リニモの特徴を記して見るが,JRが甲府で試走しているのとは,別のものである(磁気浮上式システムは同じだが)。

 浮上して走行するため騒音や振動が小さく,快適な乗り心地で,沿線環境にもやさしい乗り物ですと記しているが,たしかに乗り心地は良い方だと思った。また,浮上して走行するため磨耗部分がなく,車両やレールとも保守の手間が低減するとも記しているが,たしかにその通りだと思う。
  また,リニアモーターで走るため,急勾配,急カーブもスムーズに走行できる。最高速度や加減速度が高いため,きりかえが優れていると言う。
  又安全性・信頼性が高いと言うことで,このシステムを見ると,車両がレールを抱え込む構造なので,脱線や転覆などの事故の心配はないようである。
  又世界に先駆けての実用化と言うことで,この万博にお目見えは,もっとも時機を選た乗り物と思った。

JR東海超電導リニモ館に展示されている本物である。実用化はいつのことかまったく未定であると言う。

  リニモは,自動運転である。全線において無人,自動運転である。車両基地運転司令室からの指令情報,駅からの出発制御情報などに基づき,演算及び補正を行い,駅間の自動走行と駅での停止制御を行うと言う。駅ホームでは,この情報制御により,乗降時にはホームドアが自動的に開閉するシステムとか。
  磁気浮上式システムのしくみ(浮上について)をパンフより記して見ると。
  車体に取り付けられた電磁石に電流が流れると,レールに向かって吸引力が生まれ,車体が浮上,電磁石とレールとの間隔はギャップセンサーにより,常に一定の間隔(約8m/m)を保つように制御されている,と言う。

 この輸送会社,愛知高速交通(株)の設立経過についてちょっと記して見たい。
  この万博が開催されている一帯,名古屋東部丘陵地域は「あいち学術研究開発ゾーン」として位置づけられ,学術研究開発拠点の整備はもとより,居住・文化・レクリエーション機能の充実など総合的な地域整備が進められており,今回のこの国際博覧会の開催も含めて地域発展を進めるために,愛知高速交通(株)は平成12年2月に地元自治体,民間企業の出資により設立されたと言う。だから,万博が終わっても心配することは,ないようである。

 万博へのアクセスについて説明すると。
  JR名古屋駅から,地下鉄東山線で「藤が丘」で乗かえ「リニモ」に乗る。藤が丘から「はなみずき通」の1駅間は地下式区間である。「藤が丘」から,6駅目が「万博会場」駅まで約17分かかる。料金は「藤が丘」−「万博会場」間,360円である。

 今回の現地報告は世界から出展されている120ケ国の国々の一部を紹介したい。
  この120ケ国をグループ別に6部門に分けて会場内にバランス良く配置している。
  グループ分けは,グローバル・コモンと名前をつけ,グローバル・コモン1〜6まである。

グローバル・コモンNo.1(アジア)
アジアの17カ国を配置,インド,サウジアラビア王国,大韓民国,中国,パキスタン等,計17ケ国。
  メーンゲートの北ゲートに最も近く,センターゾーンの「愛・地球広場」に隣接。同広場から直接入場できるほか,ゴンドラの駅がある企業パビリオンゾーンやグローバル・ハウスの近くにあり,アクセスも便利で集客力がある場所である。
  インドについては別記でくわしく説明したいと思っているが,丸いサークルの中心にはシンボルである「生命の木」が,天井にはインドの伝統的な布で太陽がかたどられる。館内には曼陀羅,バザール風景,IT先進地であるインドに因んだIT関連の展示があった。
     
グローバル・コモンNO.2(北・中・南アメリカ)
北・中・南アメリカの17ケ国と国際機関のゾーンである。
  この万博のセンターゾーンの「愛・地球広場」に隣接。グローバル・ハウス,50メートルのスクリーンのある場所。マンモスも近い場所で北ゲート,企業パビリオンゾーンからも比較的近くの位置。中央に池を配し,周囲は林等自然にあふれている。
アメリカ合衆国,カナダ,アルゼンチン共和国,メキシコ合衆国,キューバ共和国等17ケ国と国連1の18機関。
アメリカ合衆国については別記したいと思っているが,3D映像のフランクリンがアメリカ的精神表現。
米国初の外交官で科学者でもあった,ベンジャミン・フランクリンのその生誕300年を記念し,劇場内に3D映像で復活。彼をホスト役に米国の自然や科学技術の発展などを紹介している。
アメリカ館会場内に入る時のチェックは,万博入場時よりも厳しいものであった。アメリカ独自のテロに対する対策なのだろう。
     
グローバル・コモンNO.3(ヨーロッパ)
グローバル・ループ(空中回廊)が取り囲む地中海沿岸とヨーロッパ地域。
フランス共和国,イタリア共和国,ギリシャ共和国,スペイン,ドイツ連邦共和国等13国と国際機関1,の14のコモンである。
  西ゲートや日本ゾーンに隣接,グローバルループに囲まれ,複数(4ケ所)の入り口から入場できる。地中海カラーともいうべき,色使いの特色のある建物群にも注目したい。地中海らしいエリアである。
     
グローバル・コモンNO.4(ヨーロッパ)
グローバル・コモンNO.5(アフリカ)
グローバル・コモンNO.6(オセアニア・東南アジア)

以上のようにコモンを6グループに分けて外国館を展示している。

1回の寄稿ページ数には多少限度があるのと写真が多数はいると印刷代がはね上るので気にしながら出して見た。
世界120ケ国から来日した,外国館へ1国でも多く見たいとかけ廻ったが,2日間でせいぜい,40ケ国ぐらいだろうか。又,中には,その国から派遣員のいない国もあった。日本での滞在費も大変なものかもしれない。
  次号は「テーマ館」を取り上げて記してみたいと思っている。

平成17年5月22日
 
※この美人は,インドを代表して,派遣された5〜6人の美女の内の1人である。モジュール数4で,かなり万博に力を入れている様子がよくわかった。黒のスーツ,下は民族衣装のようである。 ※この方はブータン王国から派遣された「ポーラ」さんと言う美女である。「クズサンポーラ」「こんにちは」をおしえてくれた。ほりのある顔だちにむらさき色の服。
※この人もきれいな女性である。あいきょうがあって,親切であった。イラン・イスラム共和国を代表する派遣女性。服は赤のまだら模様に白のスカーフ。 ※火星探査車の模型を展示。「スピリット」車。2003年,火星に着陸した。
※この写真は土星の大型写真である。みごとな見映えであった。興味があれば是非見ておきたい写真である。 ※アルゼンチン共和国からの派遣女性。日本に来るのが大変楽しみであったとにこやかにポーズ。パチリ。白のシャツにブルーのスカーフ。
※アメリカグループのキューバ共和国の派遣女性。是非キューバに来てほしいと営業も熱心であった。赤のスーツ。 この建物はドイツ館,フランス館の共同館である。行った時,ちょうど桜が満開であった。
 
※さすがにスペインは赤の色彩が濃い。建物の壁も赤なら,ドアーも赤,カラーでないのが残念だが,彼女の服も真っ赤である。  

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