東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.65


「自然の叡智」
「愛・地球博に行ってみよう」
愛知万博 No. 4(現地報告)

青木行雄


 平成17年6月25日,会期(185日間)の折り返し点を迎えた,入梅したにもかかわらず真夏並みの炎天下となったが,家族連れや団体客などが詰めかけて,開幕からの総入場者数が午前11時で900万人を超えたと発表された。その日の名古屋の状況を見ると,会場は早朝から青空が広がり,日中の気温も急上昇,午後2時すぎには,人気の企業パビリオンが立ち並ぶ北ゲート付近ゾーンで35度を観測したと記されていた。

「キッコロ・ゴンドラ」から写した。かなり混雑している。この日は約13万人,北口ゲート近くの企業ゾーンB地区である。

  万博協会では梅雨のこの時期,入場者は伸び悩むと予想しており,懸念していたようだが,雨も少ないこともあって,連日十万人を超える盛況ぶりである。これから夏に向けて暑さ対策を強化し,好調を維持したいと言っているが,確かに各ゾーン部分には日影が少なく日中症対策が気になる所である。

  夏休みに入り,増々入場者が増える事は確実と思うし,東京でも行って見たいと思う人が,たしかに増えて来た。私見だが,このまま行くと,予定より1000万人増の25000万人に達するのも夢ではないのでは…。
  又私の記事を見て行って見たいと思ったと声をかけて貰ったり,会合ごとに話をしているので行く気になったとか,何十人かの人達のお役に立ったかも知れないと思っている。

 今回の紹介テーマは,グローバル・コモン4(ヨーロッパ)の「ロシア舘」を取り上げて見たい。

  まず,行き方だが,一般入場口,メーンの北ゲートより入場すると,一番混雑している→トヨタ舘等企業パビリオンゾーンBの場所に近いところに「キッコロ・ゴンドラ」があって,ここで600円かかるが,5〜6分南に乗車する。万博会場全体が空中から見る事が出来て,すばらしい。途中グローバルハウス(マンモスラボ)やこいの池,グローバル・コモン3のフランス舘や,イタリア舘等,眼下に見ることが出来る。この「キッコロ・ゴンドラ」は8人乗りで,同じく「モリゾー・ゴンドラ」もこの北口から出ていて,瀬戸会場に行く交通手段となっている。こちらは所要時間約10分かかるが,無料である。途中民家の上を通る為に一時約2分間,窓ガラスをくもらせ視界を見えなくする仕掛けになっているのには驚ろいたが,民家のプライバシーを守る為だと言う。
ロシア連邦舘入口,万博にかなり力を入れているようだ。

 さて,ロシア舘について
  ロシア舘のテーマは,「ノースフィア(人智圏)の調和」,愛・地球博のテーマ「自然の叡智」とも相通ずる自然と人類の共生を意味すると言う。このテーマのもと,ロシア特有の広大な森林「タイガの森」や氷河期に生きたマンモス,自然力を有効利用する科学技術と宇宙開発など,ロシアの豊かな自然と資源,そして知的活動について展示していると,能書きがパンフに書かれている。
  では,私の見学した,様子をそのまま記して見ると。
  まず入口にプーチン大統領の写真がはってあり,又入口には白樺の林立する大きな写真が見える,そして世界の森林の約20%を占めると言う「タイガの森」の再現コーナーが出迎えてくれるが,入口より聞こえる川のせせらぎや,いろいろな鳥の声の演出には感動である,受付のロシア人に今鳴いている鳥の名前はなんだと質問したら,ロシア語で返答があったので「フフン」と言って別れたが,分からないままであった。
  この「タイガの森」を過ぎるといきなり,薄暗くなる,すると正面にメイン展示物の大きな「マンモス」の全身骨格の完全復元像が目の前に飛び込んで来た。
  この万博のメーンイベントである「ユカギルマンモス」は6月号でくわしく説明したが,こちらは骨だけではあるが,1万年以上前に地球上から姿を消したマンモスの復元像の骨格の本物が見られた,又1才程度と思われる子供マンモスも出骨し,一緒に展示されている。いずれにしても,肉片がそのままの「ユカギルマンモス」といい,このロシア舘の全身骨格の「マンモス」といい,見る人の心を魅了し,二度と見る事が出来ないであろう感動を,時間をかけて,この目で又写真のレンズを通して見る事が出来た。

  このマンモスの下に能書きが書いてあり,メモしてきたので下記する。
「マンモス」の全身骨格・完全復元像,約12,000年前の本物,草食動物。
年  数  1〜12,000年前
年  齢  60才
高  さ  2,700m/m
長  さ  4800m/m
重  さ  100kg(骨の重さ)
子  供  1〜1.3才
大人の毛  赤オレンジ
毛の長さ  500m/m

  次に外国舘の中で私のお勧めの中に「イタリア舘」がある。
  シチリア海の海底から,漁師の網に引かかったと言う,2400年前のブロンズ像,マザラ・デル・ヴァッロの「踊るサテュロス」像がある。
  像は動かないが,ドームの中を回る歩道になっている為,全身を見ることが出来た。
  「光と影の戯れの中,その回転するような動きの熱とエクスタシーが伝わって来る」とあるが,すばらしい。
  写真は,写す事が出来なかったが,筋肉の太さや,像の容姿は異容な雰囲気が発散しているようであった。まさしくエクスタシーを感じる。背中の腰の所に穴があいているが,人間にも尾があった跡だったと言う,このブロンズ像は,見る人によっていろいろだが,2400年前にこんなブロンズ像型が作れたと言う事実は想像以上であった。
  イタリア舘のキーワードは,「地中海の陽光あふれる明るさ,感覚の発見,視覚,聴覚,嗅覚,触覚,味覚を通じて世界を知ることの美しさ,それを他の人々と分ちあうことのすばらしさという,自然や文化とのかかわりを示すものです」とあるが,日本語の翻訳に無理があり理解出来かねる所もある。だが,こんなふうに記されていた。
 しかし,万博に行かれたら,必ず見ておきたいのが,この「輝るサテュロス」像である。
  イタリア警察,2mはありそうな大男,舘の前を警備していたので,並んでパチリ
実物は撮影禁止,2400年前のブロンズ像,海外に持ち出したのは初めてとか。
見ておきたい,一物である。

※ そっと教えたい情報2つ。

1. トヨタ舘をどうしても見たい方
とにかく一番の人気で,インターネットでも,並んでも,簡単には見る事は出来ない。
そこで,70才以上のじじ,ばばと一緒に行けば,1人に,付き添い1人の人が大して並ばずに整理券をもらえ入る事が出来る,ただし,朝10時ぐらいで,整理券発行はおしまいになるので,早い方が良い。

2. ユカギルマンモス(グローバルハウス)入場券。
トヨタ舘と同じように,70才以上のじじ,ばばを一緒につれて行き,1人につき3人まで,一緒に同行が出来て整理券をもらえる。
これは大変な情報で利用してほしい。
グローバルハウスには横50m,縦10mの大型スクリーン(世界一)が見れて,マンモスが見られれば,文句は言えない。

 私は前にも何回か記したり,人に合うたびに言葉でもお勧めしているが,世界120ケ国が日本に来て,その国の国情を説明したり,産物を紹介したり,国の雰囲気やテーマの「自然の叡智」についての考え方等,その国々の少しかも知れないが,120ケ国が一度に認識出来るチャンスは2度とないと思っている,又,小学生,中学生のお子さんも大人が是非つれて行き,国際感覚を身につける良い機会だと思った。
  見方によっては,ただのお祭りさわぎと思う人もいるかも知れないが,あれだけの大イベントの組織作りをして,開催する努力は,大変なものと思う,見るたびに,すごいと感じる1人であるが,協会には関係ないにしても1人でも多くの人に見てほしいと願っているし,人生行路の中,何かの参考には,必ずなると信じている。
  万博は9月25日までで,後2ケ月弱となった。

平成17年7月10日

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