見たり,聞いたり,探ったり No.66
「自然の叡智」
「愛・地球博に行ってみよう」
愛知万博 No.
5(現地報告)
青木行雄
子供達の夏休の前ではあったが,三連休の中日となった17年7月17日,これまでの記録を4万人以上も上回って,初めて20万人を突破の1日215,976人の入場者数となったと,発表された。
人気パビリオンは軒並み大行列で最大7時間の入館待ちになり,終日ごった返したと言う。
各ゲート前には早朝から約2万4千人が列をつくり,定刻より30分早い午前8時30分に開門。長久手会場の最高気温が30度を超す暑さの中,日立グループ館は午前中に7時間の入館待ちの列が出来たとのこと。マイカー客をシャトルバスで会場へ運ぶ6ヶ所の「パーク&ライド駐車場」は夕方までにすべて満車になった。地下鉄東山線藤ガ丘駅方面に向かうリニモは午前10時過ぎ,会場駅で1時間10分の乗車待ちとなったと言うから,大混雑である。
こんなに苦労までして何んで行くのか,と言う人もいるかも知れないが,これほどに人気が出た事はそれだけ内容も良い事が一般に分かって来たとも言えるのである。
そして,7月29日までに開幕以来約1300万人の入場者数を記録して,当初目標の1500万人に迫って来た。8月夏休の1ヶ月と9月の25日間,入場者数の記録が楽しみである。
この月報が発行される9月には万博の閉幕の月で1ヶ月を切り,わずかな日数となる。夏休中の報告は〆切の関係で出来ないが,万博現地報告は最後の記事となった。
世界から来日した120ヶ国のパビリオンは何回見てもあきる事はない。いろんな趣向をこらして,来館を期待し,踊りや伝統工芸の実演等その国の表現に余念がない。
そして,外国館を上手に回れば,前にも記したが,手軽な世界旅行が出来て,外国の食事も出来て,外国人にお会いし,話も出来る。大抵の国の人は少々の日本語は勉強している。
すてきなショーも見ながら,駆け足で最後の見て歩きの旅を紹介して見よう。
韓流ブームですっかりお馴染みになった韓国館も,今は,かなり混雑しているが,なかなかの見応えがある。シム・ガヒ錦林舞踏団が来日し,メンバー約20人はトップレベルの演奏や踊りを披露している。韓国舞踏の中でも最もよく知られている人気の「扇の舞」や4種類の打楽器を打ち鳴らしながら踊る「サムルノリ」など伝統舞踊や民族舞踊,創作舞踊等約30分にわたる熱演は素晴らしい。いろいろな事で国の問題もあり,嫌いに思う人もいるが。この公演時間は,午前11時15分,午後1時15分,4時15分の3回公演である。
こんなすばらしい舞踊が日本で,しかも無料で見られるのは,万博ならではの楽しみでもある。
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伝統工芸の実演中に女性の案内人と2人。小柄な美人である。これがスリランカの女性。 |
次にすぐ近くに中国館があった。こちらはサニーガールズの美人8人グループが,湖水の上(らしき)で伝統楽器の二胡や中国琵琶,中国筝を用い,「ジャスミンの花」や日本童謡の「赤とんぼ」などを約15分間演奏をしていた。なかなかムードがあって,こちらも素晴らしい。時間があれば,是非聞いて欲しい1館である。演奏時間は午前11時から午後6時まで1時間おきの公演と言う。
同じコモン1の中でおすすめ館にスリランカ館がある。館内では手織りレースや真鍮のたたき出し,宝石研磨など伝統工芸の実演も見られるが,スリランカの踊りに,魔よけの仮面をかぶり,民族衣装をまとって,幸せを祈る踊りなど見ることが出来る。公演時間は,午後2時30分,4時30分,6時30分も3回公演である。この踊りを見ていたら,スリランカの国にちょっとふれたような気がして,行きたくなった。
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アルゼンチン館の入口。この時はまだ人は少なかったが,今は結構並んでいる。この中で,タンゴのショーが見られた。 |
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隣りの賑やかな壁面の館はスペイン館,かなり目立つ。陶器を作っている。 |
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なかなか凝った構えではありませんか。マレーシアのパビリオンである。 |
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マレーシアの踊り,情熱的であった。 |
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人気があって,かなりの行列が出来ていた。シンガポール館は30分待ち(7月)。 |
コモン2には踊りのメッカ,アルゼンチン館があった。アルゼンチン・タンゴは国を代表する踊りで,男女4人のダンサーが,激しい情熱的なタンゴを,本場ならではの情感たっぷりに踊りまくる。まだ本場には行った事はないが,この踊りを見ていると,体が熱くなって,アルゼンチンに居るような気がした。公演は午前10時から午後8時まで,毎時間の10回やっている。
コモン3,ここでは,ヨーグルトとハーブで知られるブルガリア館がある。女性は華やかなスカートやワンピース姿で,民族音楽に合わせて軽やかなステップを踏む。代々木に日本大使館があるが,どちらかと言えば,地味な方である。下掲の写真は花柄を壁に出したブルガリア館の入口である。
コモン6の東南アジア地区には各パビリオンが競うようにして,伝統舞踊や民族音楽を披露していた。
特にマレーシアは力が入っている。民族衣装をまとった大勢の女性の踊り手が細やかな指先や豊かな表情で伝統舞踊を披露してくれた。なかなか華やかで賑やかだ,見ていると,自分も舞台に上って,踊りたい気分になる。時間は午前11時,午後0時30分,午後4時の3回である。
スコールで有名なシンガポール館,多民族国家を反映して,出し物も,マレーダンス・インド舞踊・京劇と多彩であった。公演は平日午後1時30分と4時の2回。
夏真っ盛り。特に名古屋は熱い所である。まして万博は,熱気につつまれている。その会場には協会も,特に気を使い,いろいろ夏対策を講じていた。
グローバル・ループの周辺10ヶ所にドライミスト装置,直径16ミクロンの霧を噴射すると,霧が蒸発するときに周辺から気化熱を奪い,付近の温度が1〜3度下がると言う。1本につき12個の噴出ノズルが付いた装置を日よけテントの支柱計152本に取り付け,気温が10分以上27度を超えたときなどに稼働すると言う。
乾いた霧の意味を持つドライミストは,噴射が始まっても,特に服が濡れることはない。支柱の上から一斉に吹き降りる白い霧に入場者達は思わずびっくりして,涼をもとめて集まって来る。
ドライミストや霧の噴射装置は,コモン5のアフリカ共同館やワンダーサーカス電力館,名古屋市パビリオン,植物の壁「バイオ・ラング」のほか,コモン1近くの花壇などにも既にあり,時折,白い霧を辺り一面に放っている。行った事のある人は体面した事があると思う。
一方,開幕当初,日陰が少ないと思い,夏は大変だなあ,と思っていたが,日陰対策も進んで来た。人気パビリオンの入場待ち場や,愛・地球広場,空きスペースにテントを張ったり,グローバル・ループ上のテントも拡張している事が目についた。
お土産売り場をのぞいて見ると,会場内3ヶ所の公式記念品ショップや12ヶ所のカートによる売り場は,お土産を求める人達で,いつ行ってもいつも満員で,賑わっていた。
関係者によると,お土産は約5000種類あると言われ,いろいろなものがある。公式マスコットキャラクター「モリゾー」「キッコロ」や,展示されている冷凍マンモスのキャラクター「マモダン」「マモリン」のぬいぐるみが特に売れているらしい。
マンモスホルダーは行くたびに聞いても売り切れであり,1個も買えなかった。
このほか,モリゾー,キッコロをデザインしたTシャツやハンカチ,ノートなども人気と言う。
土産での食べ物ではモリゾー,キッコロの形をしたクッキー,名古屋を象徴する八丁みそ,名古屋コーチン,ういろう等がよく売れていると言っていた。
何回も記すが,いよいよ会期9月25日マデで,残す所わずかな日数になってしまった。見ておくか,止めるかは,人それぞれの判断だが,見たか見ないではこの万博の知識でははっきり「自然の叡智」の差はついたと考えて見た。さあ,最後に行ってみよう。
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