歴 史 探 訪 No.41
関東三大大師
「佐野厄よけ大師」へ参拝
歴史 訪人
なかなか,良い言葉ではありませんか。この厄よけ大師様のパンフの冒頭に書かれてあったものを記して見た。
私は宗教について,あまり論じる程の学もないし宗教心もない。ただ良く神社,仏閣には足をはこぶし,こだわりは持っていない。
私の本家は真宗大谷派なので,どこの神社は別として,お寺の場合,何宗のどこの寺でも,「なむあみだぶつ」と私の宗派のお経を1〜2度唱えて,健康と無事をお願いする程度である。
それでは,「佐野厄よけ大師」について,少々,説明しておきたい。
この大師の名は,正しくは,春日岡山「転法輪院惣宗官寺」と言う。
937年(承平7年)の3月,朱雀天皇の時代,奈良の僧宥尊上人が開いた寺で,日本の仏教で最も古い南都六宗の法相に属したと言う。
藤原秀郷公が平将門降伏の誓願により,佐野の今の城山公園の地に春日明神の社殿と共にこの寺を建て,朱雀天皇から上記の寺の勅額を賜わったといわれる。
それ以来,藤原一門の信仰あつく栄えたようであるが,平安時代の末期の保元・平治の頃には衰えていったと記されている。
そしてその後,比叡山の僧で「俊海」という人が,父藤原光憲から,保元・平治の乱で殿堂が焼けて灰になったが,比叡山修業の後この山を復興せよ,との言いつたえを深く心にとどめ,この寺の荒れ果てたことを憂い,鎌倉時代に信徒を集めて,藤原一族および北条氏一門の有志と共に1297年(永仁5)8月に復興完成した。これ以後「法華経」を経典とする,伝教大師を宗祖と仰ぐ天台宗となる。
その後,第十二世の僧「豪海」のときに1602年(慶長7年),秀郷公から30代の佐野信吉公が,幕命により唐沢域をこの春日岡(城山公園)に移すにあたり,寺は現在地に移転したと言う。徳川時代には御朱印50石を拝領し,寺社奉行も置かれ,三代将軍家光公も参拝する等幕府との縁故も深かった。またこの寺大師は,厄よけ元三慈恵大師を安置し,厄よけ,身体安全の祈願を続けており,年毎に信者が激増し,正月大祭には約百万人以上の参拝客を仰いでいる,と寺史に記されていた。
私も今回の参拝が初めてであるが,かなり営業のうまい寺であり,繁盛している寺であるなーと言う印象が強かった。
この厄よけ大師について,もう少し歴史をひもといて見たいと思う。
大師は,俗姓を木津氏といって,12才の時,比叡山に登り出家し,法名を「良源」と称した。966年(康保3)18代天台座主となり叡山中興の祖とあがめられた。995年(永観3)世寿74才で遷化され,慈恵大師となった。
大師は生前より密教の行法を深く修め,多くの神秘奇蹟の多かったところから,俗間の信仰をあつめていると記されている。当山安置の大師像は,大師生前の時,画かれた現存する日本最古の御影であり,当山が最も誇り得る,わが国の至宝といえるとあり,大師42才のとき,比叡山解脱谷においてこの世の人々の厄難苦悩をあわれみ,能化世間苦の秘法を感得したまい,如意輪観世音のご化身といわれていると難かしい,宗教語の連記だが,その道では,大変偉かった大師だったと思われる。
バスから降りて,すぐ参道はあるが,短く,寺内はいろんな建物が所狭しと建って,ごちゃごちゃしている寺だなあとも思う。しかし前にも記したが,大変繁盛している様子も分かる気がする。
寺内には,水子地蔵尊,子育地蔵尊,春日稲荷大明神,パゴダ供養塔,佐野東照宮,縁結び道祖神,金銅大梵鐘,石川啄木歌碑,熱海別院,菊慈童,などなど,現在社会の厄難苦悩を一手に引き受け,この厄よけを全部払ってくれると言う,ありがたい大師様なのである。
特に私がびっくりして立ち止まったのは,参道の奥に上記に書いた「金銅大梵鐘」である。
厄除元三慈恵大師−千年御遠忌を記念して建立したと言うこの大梵鐘は,人間国宝香取正参先生によって謹製され,日本一大きい金の梵鐘で,直径1.15メートル,重量約2トン,黒塗りの切妻造りの鐘楼におさめられている。
もちろん私は金の梵鐘は初めてで,びっくりした。これだけでも興味のある人は見る価値があると思う。
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本物かどうか疑いたくなる程すばらしい梵鐘。カラーでないのが残念だが,直径1.15メートル,重量2トン。一度,金の音色が聞きたいと思ったが,聞くことが出来なかった。機会があったら,是非聞きたいものだ。 |
また,「子育地蔵尊」も,気になる地蔵であった。
―はけば塵払えば又も散り積もる
人の心も 庭の落葉も―
〔地蔵横の立札〕
ふくよかで愛らしい笑顔の小僧が,竹ぼうきをもって立っているまめまめしい姿は,子供の無事成長を願う親達の心に言い知れぬ期待感を与える地蔵である。
参拝する親子連れがタワシで体を洗うことによって,丈夫な子,まめな子,よく働く人間に育つと言うことであるが…。
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日本でも珍らしい,お掃除小僧である。世の中の子供達が元気で良い子に育つ事を望まぬ親はいない。 |
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国道から入る山門前,(表玄門)。表玄関前に屋台の店があるのは,どうかと思うが,これも商売のコツか?寺内のすき間と言うあいた所はほとんどが屋台でしめられている。本当にごちゃごちゃしている寺だと言う印象が強い。お祭の期間中なのかも知れない。 |
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