歴 史 探 訪 No.44
「日本の世界遺産」について
〜「ユネスコ・世界遺産」とは〜
歴史 訪人
日本に在るユネスコ世界遺産は,平成17年7月に知床(北海道)が新たに登録され,全部で13件になった。日本が世界に誇れる自然や文化,その日本的美しさを順を追って紹介したいと思う。
日本の南から,13件の名前をリストアップして見ると,以下の通りである。
1 . 琉球王国のグスク及び関連遺跡群(沖縄)
2 . 屋久島(鹿児島)
3 . 厳島神社(広島)
4 . 広島の平和記念碑(原爆ドーム)(広島)
5 . 姫路城(兵庫)
6 . 紀伊山地の霊場と参詣道(三重・奈良・和歌山)
7 . 法隆寺地域の伝教建造物(奈良)
8 . 古都奈良の文化財(奈良)
9 . 古都京都の文化財(京都・滋賀)
10. 白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜・富山)
11. 日光の社寺(栃木)
12. 白神山地(青森・秋田)
13. 知床(北海道)
暫定リストの中に次の4件が載っている。
1 . 武家の古都・鎌倉(神奈川県)
2 . 彦根城(滋賀県)
3 . 石見銀山遺跡(島根県)
4 . 平泉の文化遺産(岩手県)
※別掲地図参照。
上記の物件は文化財保護審議会が追加物件として暫定リストに登録しているので,何年かの内には世界遺産に推薦されるものと思われる。
そして更に,下記の物件は環境庁が,世界自然遺産の候補地として検討している物件であるので,記して見た。
1 . 利尻島,礼文島および北海道北西部サロベツ原野周辺
2 . 海岸部から1000mを超える高山帯までの知床半島
3 . 大雪山
4 . 阿寒湖・屈斜路・摩周のカルデラ地帯と周辺
5 . 日高山脈
6 . 岩手県早池峰山
7 . 飯豊・朝日連峰
8 . 奥利根・奥只見・奥日光
9 . 北アルプス
10. 富士山(青木ヶ原樹海や溶岩洞穴群を含む)
11. 南アルプス
12. 祖母山・傾山・大崩山・九州中央山地
13. 阿蘇山
14. 霧島山
15. 三宅島など伊豆七島
16. 小笠原諸島
17. トカラ・奄美・琉球列島
18. 陸中海岸
19. 山陰海岸
等々,こんな所とも思われる知らない所も検討候補も上がっているようである。またその他にも,別紙の登録運動の他に大分の国東の石物群と宇佐神宮などを上げると,日本では20以上もそれぞれの地域で取り組んでいると言うから,プラスすると全部で50件以上もの数に上る場所が世界遺産を目指していることになる。
世界遺産には,遺跡や建造物などの「文化遺産」と,生態系や自然景観などの「自然遺産」,及び双方の基準を満たす「複合遺産」の3種類があり,国連教育科学文化機関(ユネスコ)が推薦を受けて登録を決める。上記の日本の13件の世界遺産のうち,自然遺産は「屋久島」,及び「白神山地」と平成17年に登録された「知床」の3つとなった。残りの10件は全部文化遺産であり,複合遺産はなぜかゼロである。
世界遺産基金から調査費や保全の技術協力費などが出る以外,特別な支援はないが,国際的な知名度アップによる観光振興など,それに伴う雇用など経済効果は大変大きいと言われる。一方,観光客の増加で逆にゴミ問題が発生したり,登録要件である保護管理措置を満たすために開発制限が強化され,地元でのトラブルになるケースも多々見受けられると言う難点もある。
環境省が上記候補地として検討している物件の中で,No.16の小笠原諸島を推薦したと世界遺産に関するニュースの中にあったので,記して見た。
2006年(平成18年)1月4日
小笠原諸島(東京都小笠原村)には多様な固有動植物が生息し,世界に類を見ない独特の生態系が維持されていることから,2006年から登録手続き作業に着手し,2007年1月に暫定リストを提出,2008年1月に推薦書を提出,2009年の世界遺産委員会での登録を目指すことになったと言う。登録されれば,国内では,屋久島,白神山地,知床に次ぐ4番目の世界自然遺産となる。期待したい。
1975年(昭和50年)発効の世界遺産条約を日本が締結したのは,1992年(平成4年)で世界では125番目と言う。世界では現在812件あると言うが,登録数が30件を超えるイタリア,スペイン,ドイツ,中国と比べて,日本が13件と少ないのは,約17年も出遅れたことにあるようである。
世界遺産は数を競うものではないのかも知れないが,世界遺産として価値のあるものは積極的に増やしてゆこうという意欲や,戦略が必要である。
これからも,乞う,ご期待と言う所か。
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日光東照宮。杉の大木に囲まれた「世界遺産」。 |
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世界遺産の日光東照宮「陽明門」。見事な彫刻である。 |
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