東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.101

「キッザニア東京」豊洲−探訪記

青木行雄
※キッザニア入口。「ららぽ?と」の中でテーマパーク
に並ぶ人々。かなり行列が出来ていた。
※夕暮れを想定した町並の中を歩く子供達。今日は入
場者がたまたま少ないので,すぐ出来ますと言ってい
た。
      二年前の2006年にオープンした,豊洲のららぽ?との中に,「キッザニア東京」と言う,こどもが主役の街があって,二年たった今でも人気は衰えていない,知る人ぞ知るこの人気ゾーンは,子供達の憧れの場所として,いつ行って見ても,行列を作っている。一体どんな内容なのか,どんな町なのか,どんな魅力があるのか,大変興味があって,見学の機会を狙っていた。
 この度,縁あって,こちらの住谷社長の案内で,動機から内容までを伺う事が出来た。今,日本にもこんなユニークな内容の子供の体験場所があることをまだご存知ない方の為に詳しく案内しよう。

 この度,縁あって,こちらの住谷社長の案内で,動機から内容までを伺う事が出来た。今,日本にもこんなユニークな内容の子供の体験場所があることをまだご存知ない方の為に詳しく案内しよう。
 住谷社長は1965年(昭和40年)慶應義塾大学を卒業し,藤田観光に入社,新規事業部で,ホテル・レストラン事業に携わる,そして色々な事業を立ち上げたが,2003年(平成15年)退職する。そして世界の色々な国を視察して廻る。メキシコに滞在中に「キッザニア」に対面したのである。ディズニーランドは夢を見る,夢を持たせる施設であるが,この「キッザニア」は現実を見て,物事を体験させ,作らせて,子供達自身で考える。現在の日本の子供達に仕事の体験をさせて,将来の希望を持たせる為には,ぴったりではないかと,感じた時,住谷社長の目が輝いた。そして帰国後すぐに,スポンサー探しに疾走したのである。
 そして,僅か2年足らずの2006年(平成18年)に「キッザニア東京」がオープンした。その間の住谷社長の疾走振りは,人に言えない,苦労があったと推察するが,オープン以来,押すな押すなの大盛況なのである。
 この場合,場所の選定は大変だが,タイミング良く,豊洲の「ららぽ〜と」に入れたのも幸運であったと,住谷社長は回想している。
 住谷社長がメキシコで日本に持って来たいと思ったのはメキシコのキッザニアが,年間来場者数82万人,227日間満員記録を樹立するなど,そのユニークなコンセプトが社会的にも高く評価され,世界的に有名な各賞を受賞した。そして多くの世界的企業がスポンサーとして参画していると言うのであった。
 キッザニア東京は,こうした大成功を収めているメキシコでの運営システムをベースに日本のこども達を取巻く環境を反映し,未来の社会を担うこども達の為の※エデュテインメントタウンを目指して行きたいと言うのである。
  ※ちょっと難しくなるが,説明を加えると,エデュテインメントタウンとは,教育を意味する英語エデュケーション(学び),エンターテインメント(楽しさ)を組み合わせた造語である。
 キッザニアでは,エデュテインメントを単に「楽しく学習」するのではなく,楽しさの中に「学び」があるものと捉え,こども達がまずはキッザニアで楽しく遊んでもらう事,そして,その体験・経験の中で何かを学んでくれる事を願い,エデュテインメントタウンとしていると言う,但し書きを添えて貰った。

 キッザニアは,今までに類を見ない,学び楽しさを提供する「こどもが主役のこどもの街」なのである。
 そして,こども達は,こどもサイズの街並の中で医師,消防士,ホテルマン,新聞記者,バスガイド,警察官,建設会社,スタンドマンなど50以上の職業体験と自動車を運転する。スポーツクラブで汗を流すなど,参加型の体験を通して,"大人の役"になりきる事が出来る。
※これからモデル人形の腹を手術するので説明を受け
ている子供達。手術用の衣服を着用し,メスを握る。
白い手袋を着けるところ。
※子供消防隊,前方のビル火災現場でこれから,放水
が始まる。全員位置に就くところ。カラーでないのが
残念だが,前面のビルが真赤に燃えている。
 この様にキッザニアでは,自然に,そしてこども達が自発的に"大人の役"を演じて楽しめる環境を用意しているのである。又,各パビリオンの中では,専門にトレーニングされたスーパーバイザー専門職の人が,こども達の体験を手伝うのである。
 この様にキッザニアは学びと楽しさの両立を体験する訳だが,こども達にとって好きな職業,役割になりきって,自由に楽しむ事が出来ると言う,ビデオゲームや携帯遊びなどとは違う楽しさを提供するのである。
 そして,仕事体験や参加型の「社会体験」によって,こども達は楽しみながら自然に働くことの意味や社会の成り立ちを理解する事が出来るように考えられている。
  チームワークやコミュニケーションの大切さ,自分の個性をアピールすると同時に他人の個性を尊重する難しさ,また自分の行動と責任についてなど,学校や家庭とは違う環境での学びの機会がキッザニアにはあると言う。
 又,キッザニアでは,安全面について,最新のセキュリティシステムで,こども達の安全を確保している。入場時には,こども,保護者ともに「セキュリティブレスレット」を身につけ,一緒に受付したこども・大人のグループが全員揃わないと退場できない仕組になっている。
 保護者はこども達が自由にこの施設の中で楽しんでいる間,大人専用のラウンジで安心してくつろいでいる事も出来る。もちろんパビリオンの外でこども達の仕事体験や参加型の様子を見守る事も出来る。
 又,こども達に通貨の知識も教える為に,この施設の中では,「キッゾ」と言う専用通貨を使用し,手に入れる,貯める,使う事が出来るようにしている。
 こども達は,お仕事体験する度にその報酬として「キッゾ」を得る事が出来,サービスなどを受ける時には「キッゾ」を支払らう,又,銀行で預金する事が出来,次回来た時に引き出して再び利用する事も出来る様になっている。
※キッザニアの街に「はとバス」が走り,宅急便の
「クロネコヤマト」が配送し,「ガソリンスタンド」
があって,「パトカー」が走り,「三越デパート」が
あって,「朝日新聞社」「大成建設」の建設現場まで
ある,全て,実名で50社以上の企業が協力して,子供
の参加を待っている。
   この様に「キッザニア」では,こども達により,リアルな体験をしてもらうため,さまざまな演出や工夫が施されているのである。 以上,ざ〜と説明して,だいたいお解りかと思うが,この「キッザニア」から,キッザニア東京通信と言う新聞を発行されており最近号をざ?と拾って見た。
  キッザニア東京は,実物の約3分の2のこどもサイズで作られた「こどもが主役のこどもの街」消防署,テレビ局,デザイン教室,ガソリンスタンド,病院,パン工場等50以上のパビリオンで,好きな仕事や習い事にチャレンジしながら,楽しく社会の仕組みが学べられ,仕事をすると,キッザニア専用通過「キッゾ」でお給料がもらえ,貯金をしたり,買い物をする事も出来る。
  パビリオンの数もだんだん増え,内容も進化中である,「ボトリング工場」「フォトスタジオ」「街時計」「ファションブティック」では,英語を取り入れたプログラムがスタートし,今後もどんどん増やして行く。
  英語は,こどもの習い事の中でも人気が高く,小学校でも総合学習の時間などを利用して授業を行う所が増えて来た。
  英語をパビリオンの中に取り入れると言う試みは,実に新鮮で最先端を行くものではないか。

  開園時間は
  1部 10:00〜15:00
  2部 16:00〜21:00
   完全入れ替え制で,1回が5時間の体験である。

  入場料金は
  幼 児(2〜3歳)  1,575円
  子 供(4〜15歳) 3,150円
  大 人(16〜)   2,100円

  ことわざに,百聞は一見に如かず,と言う言葉があるが,孫に挑戦させて見るのも爺さん,婆さんの務めかも知れないと思った次第である。

平成20年6月15日

 

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