東京木材問屋協同組合


文苑 随想


『歴史探訪』(44)

江戸川木材工業株式会社
常務取締役 清水 太郎

 梅雨が明けたとは云え,今年の夏は異常気象の所為か,各地で集中豪雨が土砂災害を起こしたり,竜巻で家が飛ばされたりで散散です。梅雨がない筈の北海道も湿り勝ちで,野菜は値上りし,お米の作況状態も不安の種であります。
 先日所用で出張した折,常磐線の泉駅で,いわき市民大学の講演のポスターを見かけました。演題は今NHK大河ドラマで活躍中の「直江兼続」,講師は著名な童門冬二先生です。いわき市民大学は,いわき市が生涯学習をテーマに開校した大学で,童門氏が学長をされていることも初めて知りました。
 8月30日が講演ですが,今回は一足お先に聴講生になった積もりで歴史探訪をします。
 NHK大河ドラマでは,秀吉が老境に入って,あまりにも無謀な朝鮮出兵を敢行するところであります。景勝と兼続主従は,義と愛を旗印に掲げておりますので,当然これに反対を唱えます。
 昨日,米元大統領クリントン氏が,捕えられていた米女性記者2名を救出して喝采を浴びておりましたが,記者達の顔は中国系に見えますので,若しかしてスパイとして送り込んだのでは,と穿った見方もできますが,交換条件にまさか,核兵器の保有を認める訳ではないでしょうね。
 しかし,横田めぐみさん等を不当に拉致したのは,400年以上前の朝鮮征伐の意趣返しであるとは当の秀吉も予想だに出来なかったことでしょう。
 NHK大河ドラマ「天地人」のクライマックスはなんと云っても「直江状」でありましょう。
 秀吉が亡くなって3年後の1600年に関ヶ原の戦いが勃発します。家康は,秀吉が生前禁じていた大名同志の婚姻を横行し,上杉と直江主従が国へ帰ったのは怪しからん,とか領地を堅固にした理由を上洛して釈明せよと難癖をつけ,これに対し一歩も引かずに,来るなら来い,とたたきつけた挑戦状が後生まで語り伝えられている「直江状」です。
 怒った家康は上杉征伐に向かいますが,これに呼応するかのように石田三成が挙兵し,関ヶ原の戦いに到りますが,これも家康の掌の上で動いていた感もあります。
 今,国会は解散し,民主党優勢で動いていますが,中日ドラゴンズが優勝する年は政変が起きる,というジンクスがあります。その線で予測しますと,先行逃げ切りでやや疲れの出た我が読売ジャイアンツは逆転されてしまうのでしょうか。
 私たち庶民は今,不況に喘ぎ,将来の不安に戦いています。兼続のように爽やかでなくても良い。少し位悪くても良い。酒気帯び運転くらいは大目に見ますから,どなたか世の中を明るくして呉れるリーダーはおりませんか。

 



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