東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.123

「江戸城の天守」はこんなに美しい城だった。
青木行雄
 いよいよ寛永度天守の鮮やかな実像が、史上初めて平成22年6月17日に「両国江戸東京博物館」1階大ホールにて午後1時より大公開される。お城に関心のある人、江戸東京に江戸城天守閣があったらいいなと思っている方、観光立国に日本&東京をなんとかしたいと思っている人大集合。
 1年間に皇居の東御苑に90万人の観光客が入場していると聞くが、旧江戸城本丸跡、二の丸及び三の丸跡の一部を皇居附属庭園としており、広大な約21万m2の庭園は大変見ごたえがあります。すでにある立派な「台座」の上に5層6階約60メートルの天守閣があったらどんなにすばらしいかと思う人が大半ではなかろうか。
 そんな思いを込めて発足したのが、NPO法人「江戸城再建を目指す会」(理事長 小竹直隆)である。
 1657年(明暦3年)「明暦の大火」で焼失した江戸城の「天守」は、その後約350年間、遂に再建されることはなかった。今、このNPO法人「江戸城再建を目指す会」が、今後10年を目処に、その「天守」を再建すべく、民間で立ち上げた市民団体として、「草の根運動」を懸命に進めている所である。
 この活動を進める一環として、この度、日本の城郭復元研究の第一人者と言われる「三浦正幸」教授(1977年東京大学工学部卒業、工学博士、広島大学工学部助教授を経て、現在、同大学大学院文化財学講座教授。)による、寛永度天守の「復元図」が完成し、報告会となった。
 また、この報告会には2人目の講演者として、世界各国で国際的に活躍する照明デザイナーの第一人者、「石井幹子」氏をお招きし、「夜空に照らされた江戸城?東京の新ランドマークをつくろう」の題名で講演される。石井氏は、東京藝術大学美術学部を卒業後、フィンランド、ドイツの照明設計事務所勤務を経て、1968年に石井幹子デザイン事務所を創設。東京タワー、奈良の1300年祭に建築した「大極殿」、「スカイツリー」の照明も手がける、大ベテランデザイナーの講演も見逃せない。
 最近、江戸城再建の話が新聞やマスコミに聞かれるようになり、1〜2年前「江戸東京博物館」でも江戸城について特集を組んだことがある。そして、5層6階の天守の絵姿はインターネットなどでよくちょくちょく出て来るようになった。
 しかし、明暦の大火で焼失した天下一の巨城「江戸城」の「天守」は実際どんなものだったか、その全容は誰も知る由はない。その理由は、多数の江戸城天守の絵図は伝わっているものの、本当の天守の姿として遺されているのは、「縦地割図」という一枚の絵図だけであり、その後約350年間、誰の手によっても再建が実現されなかったのである。
 しかしこの度、その「天守」の精密な「復元図」の研究制作が、三浦正幸教授の文化財学研究室の手によって、いよいよ完成した。
 その発表が平成22年6月17日(木)に午後1時から、「江戸東京博物館」にて、寛永度「天守」が史上初めて、世に発表報告されるわけだ。
 この天下一の巨城「天守」がどんなに壮大で美しい姿か、5層の1階の面積の広さや、階段の位置、東西南北4面の容姿、断面図等々が明らかにな〜る・・。それを見るだけでも再建への夢が膨らんで来ると言うものだ。
 東京駅丸の内側から皇居前に出て、5層6階の「天守閣」がそびえていたら、東京駅前の環境は一挙に大変化するのでは…と考えるだけで、この「復元図」発表は、身震いする程わくわくする。この記念すべき大報告会を見のがす手はないはずだ。
 もちろん、この「復元図」は木造5層6階、この図面から見て、木材の使用量はだいたい計算出来るが、構造図ではないから、木のサイズ、数量は素人では出すことは出来ない。
 最近、この会に応援する人々が増えて来て新聞、雑誌に多く記事が取り上げられるようになって来た。今回の報告会にもマスコミ間で評判になると思うが、この大ホールを埋めつくし、世論を高めることで再建に一歩も二歩も近づける近道である。もし実現すれば、大量の木材使用と、日本伝統木造建築文化の継承や木造に係わる建築工法の継承、多くの伝統文化が維持出来る等木材業界や建築業界にも多くのメリットは絶対的だと思っている。
 木材使用に脚光があたり始めた今こそ、業界上げて、参加し、世論を高めて欲しい。この機会を逃したら、もう出来ないかも知れない。そんな危機感を感じながら、前向きに草の根運動を推進している所である。しかし木造建築物であるにもかかわらず残念な事に、木材業界はまだまだ盛り上がりがもう一歩と言う所である。業界も今回の報告会にふるって参加を頂き、現況をこの目で見て判断頂ければ関係者の一人として大変うれしい。二百年〜三百年と継承出来る「江戸城天守」を業界上げて、世に残そうと言う気構えを、業界のリーダーに先導して頂きたい。そして木材業界に奮起を促したい。姫路城・松本城・彦根城も木造で三百年〜四百年もその容姿を維持しているではないか。「江戸城」建設も大きな壁は沢山あるが世論さえ高まれば、出来ないはずはないと信じている。大坂城も名古屋城も市民の世論の結晶と聞いている。出来れば木造で、何万m3か使って作ろうかと言う話に他業界はかなり盛り上がってきた。我々木材業界も業界上げて協力をお願いする次第である。

 かなりの方々も東御苑の中には入場し、天守閣の「台座」を見た人も多いかと思うが改めて紹介する。
「皇居東御苑」の中に入場するには3ヶ所ある。今はチェックを受けるが自由に入る事が出来る。一般的には東京駅に近い大手門からの入場者が一番多いと言う。



※21万m2東御苑の庭園、はるか奥に「台座」が見えるが、5層6階の「天守閣」
が出来たら、なんとすばらしい事か。
  昭和43年9月に「皇居附属庭園」として整備完成し、面積で21万m2が一般公開された。その一角に「天守台」はある。  
※誰でも知る皇居の二重橋、奥には伏見櫓が見える。すばらしい景観である。
そして参賀の日にはこの橋を渡ることが出来る。

 この度の完成報告会は、
 「江戸城の寛永度『天守』は、こんなに美しい城だった!!」
をキャッチフレーズに、寛永度天守の鮮やかな実像が史上初めて公表される。
 これを記念して、平成22年6月17日に「三浦正幸」氏、「石井幹子」氏の講演会とシンポジウムが開催される。
 シンポジウムの顔ぶれも紹介すると
   三浦正幸氏 広島大学大学院教授
   石井幹子氏 照明デザイナー
   西川壽麿氏 総合文化研究所代表
   太田資暁氏 太田道灌公18代子孫
   小竹直隆氏 コーディネーター当会理事長
    以上5名
 テーマ、「江戸城が再建されたら、日本は甦る」
    入場 無料(資料代 1,000円)
    主催 NPO法人「江戸城再建を目指す会」
 江戸城再建の目標を下記の3つ掲げている。
(1)魅力ある国づくりを目指す「観光立国」のシンボルにする
(2)世界に類をみない日本の伝統と文化の象徴として、後世への歴史の贈り物にする
(3)平和のシンボルとして、国際的な共生と交流の拠点にする

 このような目標を掲げ、江戸城再建に夢を見ながら「草の根運動」に努力している所である。まずは、平成22年6月17日午後1時
両国の「江戸東京博物館」に集合して頂きたい。
   どなたでも参加出来ます。
   申込みは、NPO法人「江戸城再建を目指す会」事務局
    電話 03-6423-1882 FAX 03-6423-1897
   又は、青木、(電話 03-3522-1185  FAX 03-3522-1184)迄
   申込み用紙をお送りします。

平成22年5月5日 記

 

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