東京木材問屋協同組合


文苑 随想

「新木材会館茶室について想う」

茶道部 川田宗清


 新木材会館には、現代稀に見る木材とコンクリートを見事に調和させたファサードに感嘆しました。
 茶室については、入室するまでは普通の和の佇まいを予想していました。ところが、壁には木目模様があるもののコンクリートの打放し、普通はある筈の天井板も、水屋まわりの棚もありませんので当初はこの室でお茶を点てられるかと不安に思いました。
 しかし、畳は京間で、田舎間(関東間)に比べると18%広く、京都裏千家の千宗旦好み、利休草の茶室四畳半(又隠)(下図)をイメージさせるものがあり、宗旦の世界にタイムスリップしたように思えます。この茶室で初の点前を致しましたところ、照明が少し暗めなこともあり不思議とゆったりとした気分にさせて頂きました。隣の和室への外側の空間も、京の石庭を偲ばせるものがあり気持が寛ぎます。水屋まわりの棚がないなど稽古場としては若干不便な点もありますが、先人の伝えにも「釜一つ、茶碗一つあれば茶は点てられる」と云います。設計者の意気込みも感じられる大変素敵な茶室になったことに感謝しています。

 

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