|
|
唐草金象嵌七宝鐔 無銘 道仁(桃山時代) |
|
|
初夢図鐔 銘 金城住人清雲舎義為 (花押) |
|
|
一富士二鷹三茄子図大小鐔
無銘 佐藤義照
江戸後期
山城国京都
鉄地木瓜形高彫象嵌打返耳
大 縦八五ミリ 横七七・八ミリ
切羽台厚さ二・七ミリ
小 縦七九・五ミリ 横七三ミリ
切羽台厚さ二・八ミリ |
|
鉄地を薄手に仕立て、耳を打ち返して地には微細な石目地を打ち施し、初夢の夢見に良いと言われる三つの題を写実的高彫に表現している。老松から飛び立とうとする鷹は銀象嵌、富岳の雪も渋い光沢のある銀象嵌、熟れて実の割れた茄子にも銀を用いて精巧な表現。後藤一乗の門流、荒木東明に学んだ江戸時代後期の京都金工、佐藤義照の作と鑑られる。 |
|
この鍔の作者は昨年の八月号(91回・残暑見舞い)の「お笑いの図」と同人でございます。
|
志水初代甚五作鐸 松上の鷹図 鉄地 無銘
生年不詳 延宝3年(1675)没
Shimizu First hereditary master Jingo Tsuba.
A picture of a hawk on a pine tree. Iron ground.
Unsigned. The birthday is unknown, Die in 1675.
巨大な姿態、何物もくだく嘴、射すくめる眼光、力強い爪、重みにたえる老松、そして、激しい平肉の変化などすべてが渾然として、すさまじい威力をかもし、躍動する生命力、厳粛な存在感は感動的であり、甚五芸術の頂点を示すものである。 |
|
|
古刀匠 茄子透
永禄・元亀 室町後期
16世紀後半
縦83.5 横83.5 厚さ 耳2.7切羽台3.3 小肉丸耳
茄子は縁起がよいといわれてきた。二つの茄子を組み合わせて透かしている。
|
|
初夢の図柄の中で探すので苦労するのが、このナスビでご猿。十二支では羊と犬でご猿。
これが初夢のビックスリーですが、もともと「初夢」(First Dream)とは、読んで字の如く正月の元旦〜二日の夜に見る夢を云い、昔は老いも若きも良い夢を見る事を願いまして、枕の下に宝船の絵を敷いて寝る風習が一般的でした。小生も薄ボンヤリと覚えがあります。
初夢は、一 富士、二 鷹、三 茄子び、の3点セットと憶えておられる方が大半ですが、正確にはあと三つ有りまして、四 扇、五 煙草、六 座頭(髪を剃った琵琶法師)と続きます。これらは特に簡単には見られ無い夢でして、正に夢のまた夢の如くの事物が続く訳でご猿。
由来としては、富士山は日本一高く、鷹は掴み獲る、茄子は事を成す、と云う訳でして全て縁起の良い事との発想ですが、徳川家康の好みから決ったとも言われております。
それでは是から初夢に見る事を期待して、縁起の良い物をピックアップして見ましょう。
|
|
|
重文 花雲形文鐔 平田道仁作(桃山時代)(この道仁の七宝象嵌鍔の鍔は重文です) |
正月飾図鐔 銘 津尋甫・海老図縁頭 銘 津八左衛門尋甫 |
|
|
聖衆来迎図大小鐔
大鐔銘 聖衆来迎相 応中井武成需
文政壬午春 後藤光代(花押)
小鐔銘 文政八酉年孟春
後藤法橋一乗(花押) |
|
|
向獅子図小柄 銘 宗E
(花押 東京国立博物館) |
源氏物語胡蝶図目貫 無銘 大月派 |
江戸後期 山城国京都
赤銅地高彫色絵平象嵌 |
源氏物語に取材した華やかな目貫。秋好中宮の季の読経の際に演じられた、蝶の羽を着けて山吹の花を持つ童と、桜の花を手に迦陵頻伽の翼を背にした童による舞の場面が題材。赤銅地をふっくらと打ち出し、正確で精巧な構成に洗練味のある鏨を打ち込み、後藤家とは風合いを異にしながらも京の文化を濃密に映し出し、総体に優雅な雰囲気を創出している。赤銅に金の色絵が華やかに冴え、文様部分は金平象嵌で繊細な趣がある。 |
町彫りの大家横谷宗Eの小柄は従来の横図の構成を縦に一新させた。
次に材木関係の意匠の図を2〜3載せておきます。
|
林初代又七 三蓋松透
元禄12年(1699)87歳没
寛文・延宝前後 江戸前期 17世紀後半
縦80.1 横78.3 厚さ 耳5.3切羽台5.0 小肉丸耳
松の木で変り形に造り込み、枝葉を透かし、三蓋松透といわれている。緊密でしまりがあり、風雪にたえた老木の風情がある。 |
|
|
古刀匠 筏透
天文前後 室町後期 16世紀前半
縦86.0 横86.0 厚さ 耳2.8切羽台3.3 小肉丸耳
筏を透かしている。急流を棹一本であやつる筏には男性的な魅力がある。戦国の時代を生きる者にとって、なおのことであったであろう。すっきりと鮮やかに透かしているが、やや硬く感じられるのは、時代であろう。 |
|
|
古甲冑師 花筏透
応仁・文明前後 室町中期 15世紀後半
縦84.0 横83.0 厚さ 耳3.5切羽台2.2 打返耳
筏に梅と桜の花をそえた、花筏を透かしている。意匠が細やかなので、時代が下がるようにみえるが、なかなか厳しく強い。室町中期であろう。古刀匠と違って、古甲冑師は室町中期に入ると、地透鐔の大きさに近い優れたものを作っている。そして、大ぶりのものには無造作なものが多い。 |
|
|
尾張 桟木透
天文前後 室町後期 16世紀前半
縦74.2 横75.2 厚さ 耳4.8切羽台4.4 角耳
横の桟木を透かしている。耳から切羽台に落した平肉、耳と桟木のバランスが妙である。櫃孔・切羽台など、すべて慎重に造り込み、温雅で力強い。古色は深く、格調は高い。
|
|
江戸時代の刀装具 |
|
長常の下絵帳 |
万歳図鐔(表・裏)
銘 長常(花押) |
|
越前大丞一宮長常の下絵とその作品である。京都の金工で丸山応挙と同時代である長常は下絵を重んじ絵を京都で学び下絵より彫りを起こした。東の宗Eと称される名人でご猿。
…では、最後に明暗半ばするこの世を写して、東雨の重美の鶴丸透鍔と応仁・文明の乱の古甲冑師の五輪の塔の透鍔の名品をご覧下され。
|
重美 鶴丸文透鐔 銘 東雨 |
|
|
古甲冑師 五輪塔透
応仁・文明前後 室町中期 15世紀後半
縦86.5 横85.7 厚さ 耳3.6切羽台2.5 環耳
入念な環耳で、明るく五輪塔を透かしている。古甲冑師には塔を透かしたものが多いが、なにか理由があるのであろうか。いずれにしても、往時茫々、亡びゆくものは美しい。このおおらかさは時代であろう。 |
|
〜目出度さも 中ぐらいなり 俺らが春〜。
〜正月も半ば過ぎれば ただの月〜。 |
|
|
古甲冑師鐔 輪宝の図
南北朝末〜室町初期
輪宝は印度仏教で宇宙を統一支配する王の宝器。この宝器は山野を前進し、行くとして可ならざるはなしという力を持っているという。 |
|
|
|