東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第25回)

『メイドインジャパン』は復活する!

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


【メイドインジャパン】
 1月26日(土)午後9:00〜10:15、NHK総合テレビ60周年記念番組で、3週連続放送され強力なインパクトを感じた。従業員20万人の巨大家電メーカーの経営再建のドラマで、メインバンクから3ヶ月後の継続融資を拒否され、創業者でオーナー会長(岸部一徳)が社長にも知らせず秘密裏に7人の特命チームを作った。再建には2兆円の資金が必要だが、3ヶ月後に最低5000億円の資金が必要になった。瀬戸際でのた打ち回る恐竜の姿は、正に衰退する現在の日本経済を投影したような番組だ。
 今の日本ではありふれた話だが、一昔前ではとても考えられなかったことが現実になり、日本中が戦々恐々となっている。世界的な優良企業の凋落の姿を側面から捉えた味わい深いものだった。緊急資金を如何に捻出するか、具体的な再建計画の提出が必要となった。10年前にリチウムイオン電池開発を断念させられた開発部長(高橋克実)は退社し、中国に渡りその夢を開花させた。当時、会社の開発事業を中止させた側の営業部長(唐沢寿明)との確執から同期入社同士の激突となった。内容が重すぎて3話では無理があり、ひねりが不十分だと感じた。数年前、「不毛地帯」(フジテレビ:2009年11月放映)も興味深かったが、その時はもっと長編で深みがあった。
 会社再建の為に、会社更生法か、特許権侵害裁判かの二者択一に追い込まれた。話の結論は、タクミ(日本)がライシェ(中国)を告発するのを止めて、業務提携の方向で幕引きとなった。続きはどうなるのかわからないが、タクミがライシェに飲み込まれるかもしれない。引き続き厳しい企業の再建過程へと移るところでドラマが終了した。
 一昔前、世界の家電業界を席巻した、「メイドインジャパン」は過去のものとなり、今や大変厳しい戦いを強いられている。諦めずに考え続ける日本人こそが、「メイドインジャパン」なのだという。半世紀前の日本製品は安く悪かった。その後、どん底から這い上がって現在を築いた。テレビ放送が始まった頃の原点に戻ることも必要だろう。日本国内では、家電製品も飽和状態となり、又、技術や品質だけでは売れない難しい時代になった。
 最近、中国・韓国・台湾等に水を開けられている分野も多い。新たな環境で勝負するには何が問題なのか、どうすればいいのか等の難問を自分たちで解決・克服できなければ、衰退・淘汰されてしまう。このドラマは戦後日本の成功体験から凋落までを日本人の心に刻んだ。ここで日本が終わってしまえば、巷に流布される日本衰亡論と同じになってしまう。会社の大小にかかわらず、再度成功するには一体どうすべきかを深く考えさせられた。

【柴田トヨさんのこと】 
 101歳の詩人が1月に亡くなった。私は最近まで柴田さんのことを知らなかった。柴田さんは90歳くらいから詩を始めたという。難しい現代詩とは異なる、心にしみる短く、やさしい言葉に共感を受ける。彼女の詩集『くじけないで』も168万部を突破し、松竹にて映画化が決定された。監督・脚本は深川栄洋。出演は、八千草薫、武田鉄也。とても楽しみだ。

【新エネルギー関連】
 日本近海の「メタンハイドレート」の掘削が、3月から始動する。佐渡の南西沖と渥美半島・志摩半島の沖合だ。推定埋蔵量は国内の天然ガス使用量の約100年分とされる。又、米国が日本にシェールガスを2017年目途に輸出するという。このガスは掘削技術やコスト面で無理とみられていたが実用化に至った。日本近海の「メタンハイドレート」も課題は多いが是非正夢になって欲しい。米国のシェールガス革命が日本とロシアとの領土交渉に影響を与える事態になっている。

【同窓会通信】
 2月3日(日)群馬県板倉町まで友人の講演を聞きに行った。

左は、板倉町賀詞交歓会。(東洋大学・板倉キャンパス)高校同級生の小野田元伸氏(大手メーカーの常勤監査役:工学博士)が記念講演をした。
演題は「世界の環境問題と自動車の行方」。地元出身の著名人が毎年講演をする。因みに、2年前は、なんと、みずほ信託銀行の野中社長と聞いて驚いた。

右は、東武栗橋線板倉東洋大駅の西口。からっ風が冷たいが天気は晴朗。40年前は見渡す限りの田園風景、そして今やニュータウン。そばに商店街がないのが気にかかる。

講演会は数百人を集めて大盛会で、分り易い説明でよかった。当日、小野田君に挨拶できず、翌朝、彼から電話を戴き再会を約した。

【日米首脳会談】
 2月23日(土)米国のワシントンで行われ、難問山積の日本の外交・安全保障やTPPを含む経済問題が話し合われた。何とかいい方向に向かってほしいものだ。安倍総理は、Facebook等のメディアでも積極的に発信している。時代が変わり、SNSの発展・進化で選挙等にも影響を与えるようになった。3月上旬、為替が1ドル95円台、日経平均株価も12000円台となり、リーマンショック前の水準に戻った。これからが肝心となってくる。

 

2013年3月10日(日) 記

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