東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第43回)

初恋の味 小諸のブルーベリー

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


 長野新幹線で、JR大宮駅から1時間少々で佐久平駅(軽井沢の次)に到着する。佐久平駅周辺は新幹線の恩恵で発展し、佐久平駅から車で約15分(=約5km)のところに、当社の小諸チップ工場(小諸市)がある。工場の設備は最新式ではないが、半世紀の歴史を持つ工場である。

【間伐材をほぼ100%有効利用】 期末棚卸の為、9月1日(月)当社工場を訪問。近隣の森林伐採現場で発生する間伐材から木材チップを生産し製紙用に有効活用し、原木丸太から剥いだ樹皮も利用する。地味で単純な生産工程であるが、間伐材を100%活用でき環境面での存在感は高いと思う。

入荷したカラマツの間伐材。材は工場内で製紙用の木材チップに加工される。比較的太く、樹齢は30〜40年。高品質のチップが生産され高級紙等に利用される。

針葉樹、広葉樹材の樹皮廃材。自然の肥料であり、近隣の果樹園芸農家の土壌改善に役立つ。間伐材を100%有効利用できることは素材業の理想だ。


【自然を上手に生かす松井農園】 当社工場から車で約5分の所に松井農園がある。現松井社長は4代目で、長い歴史ある農園だ。近隣の農家では当社の樹皮廃材を自然肥料用として利用し、美味しさを増進し病気にも強くなるという。丘陵地帯にある広い畑には、ブルーベリー、リンゴ等の樹木、植物類が繁茂している。園内には、釣り堀、バーベキュー等の楽しい憩いの場もある。

広い松井農園。佐久平駅で新幹線を下車し、車で約20分。近隣の県や東京等からの観光バスでの利用者も多い。建物には木材が豊富に利用され気持ちが和む。

農園では様々な果物が売っている。松井農園では、特に、ブルーベリーが有名だ。長野県は、北海道、岩手につぐ第3位の森林県だが、果物の方も負けてはいない。


【インドのモディ首相の来日】 8月30日(土)に来日。5日間滞在し、政界・財界との精力的な日程をこなした。貧しい薬売りから身を起こした立志伝中の人物で、主要国の中では日本を最初の訪問国に選んだことは意味があると言われる。人口12億人のインドは急成長を続けており、21世紀の大国となることが確実視されている。
 さて、モディ首相の政策は、アベノミクスとの類似点が多いという。インドでのモディノミクス(主に投資を呼び戻す為の、金融政策、公共投資、成長戦略)が好調であるという。今後5年間で、日本がインドに官民で約3.5兆円の巨額の投融資をし、直接投資額や進出企業数を倍増させる目標を明記した。又、交通インフラ等の投資、整備等も約束された。私の関心あるレアアース年間2,500tを輸入することが決まった。
 又、インドは、所謂、「東京裁判」(1946〜1948年)の11人の判事中の中で、日本を擁護してくれた唯一の人物である、「パール判事」の母国であり、親日的なお国柄だという。若い頃にはパール博士の言葉の内容や重みが理解できなかったが、最近ではようやく有難く思えるようになった。アジアの中で親日的なインドネシアやインドとの関係は、日本にとっては益々重要な戦略的なパートナーになると思われる。


【ブルーベリーは初恋の味】 ブルーベリーは目にいいという言葉を聞いて久しい。以来、なるべく食べるように心がけている。甘酸っぱい様な自然なぶどうの味がする。最初に食べたのは、約40年前の西ドイツのバイエルン州郊外の山林内で自然に繁茂した類似したもの(木苺)食べた記憶がある。とても懐かしい。現在のものは、相当に品種改良が進んでいるようだ。それでも、どこかでつながっているような気がする。
 西ドイツ(現在のドイツ南部)での思い出は尽きない。サッカー、朝からビール、じゃがいも、色白で金髪のグラマーな若い娘たち、教会などの歴史的な建造物、自然公園の様な美しい平地林、原子力発電所、ミュンヘンのドイツ博物館、ノイシュバンシュタイン城、オクトーバーフェスト(秋のビール祭り)等々・・・。目を閉じると遠い昔のことが思い出される。一粒のブルーベリーから思わぬ所へ話が飛んで行ってしまった。余談だが、ドイツ語を教えてくれた可愛いあの娘はいったいどうしているのやら・・・。思い出は年を取らないからいい。来年も松井農園に行ったら思い出すだろう。

 

2014年9月7日(日) 記

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