『歴史探訪』(100)
江戸川木材工業株式会社
常務取締役 清水 太郎
5月2日は八十八夜、春から夏への季節の変り目で、新緑の美しい時節でもあります。
今、最も注目を集めている、2020東京オリンピック、パラリンピック招致を機に、第18回(1964)東京大会から第32回(2020)東京大会に至るまで、各回毎に日本及び世界の動きについて歴史探訪します。
私が生まれた1940年は東京でオリンピックが開催される予定でしたが、第二次世界大戦の為中止となりました。1951年サンフランシスコで対日講和条約が締結され、初めて日本が参加を許されたのが、1952年、第15回ヘルシンキ大会でありました。私が中学に入学した年で、恩師上迫先生が、体操の跳馬で銅メダルを獲得したニュースが深夜届きました。第16回1956年、メルボルン大会では水泳で、日本の山中、オーストラリアのローズ、アメリカのブリーンが熱戦を演じました。三段跳びで世界記録を持っていた日本の小掛選手は、大きな期待とプレッシャーに負けて振いませんでした。
第17回(1960)ローマ大会では、エチオピアの裸足の王者アベベはマラソンで金メダルを獲得し、4年後の第18回(1964)東京大会も連覇を達成しました。東京大会は敗戦からの復興を世界にアピールする絶好の機会となりました。経済は高度成長期で、1960年池田内閣が所得倍増計画を提唱、東京モノレール、東海道新幹線も開業、首都高速は羽田から環状線経由で初台まで開通しました。
駒澤会場では、東洋の魔女と云われた女子バレーボールチームは鬼の大松監督に率られ、回転レシーブでソ連チームを翻弄し、金メダルを獲得、日本中を湧かせました。柔道無差別級では、オランダのヘーシングが日本の神永を破り、お家芸が大きな衝撃を受けました。
第19回(1968)メキシコ大会では釜本率るサッカー日本チームは銅メダルを獲得、米国ニクソンが大統領就任。日本経済は上昇、昭和元禄と云われました。三億円強奪事件が起り、懸命な捜査も及ばず、後に迷宮入りとなりました。ニクソン大統領訪中、国交回復、沖縄本土復帰、日本列島改造論を提げて田中内閣発足、日中国交も樹立。
第21回(1976)モントリオール大会では魔女とは程遠い美女軍団の女子バレーチームが金メダル獲得、女子体操の妖精コマネチも可愛かった。米大統領カーター氏、ロッキード事件発覚、田中元首相逮捕。
第22回(1980)モスクワ大会 ソ連アフガニスタン侵攻により、日米ボイコット、マラソン最強と云われた瀬古、柔道の山下参加出来ず残念。張本3000本安打、王、野村引退、自動車生産1100万台世界一。
第23回(1984)ロサンゼルス大会 柔道の山下金、瀬古はピークを過ぎ入賞ならず。レーガン再選、強いアメリカ レーガノミクスは今の安倍政権アベノミクスの元祖。
グリコ事件、怪人二十面相森永も脅迫、岡本綾子全英女子オープン優勝。
第24回(1988)ソウル大会 日本金4 ブッシュ(父)大統領に リクルート事件政界を揺るがす 景気上昇株価3万円へ 青函トンネル開通 道路、鉄道併用橋としては世界最長 瀬戸大橋開通 東京ドーム完成 千代の富士53連勝。
第25回(1992)バルセロナ大会 岩崎恭子水泳で金「今まで生きた中で、一番幸せ」 有森裕子女子マラソンで銀 米クリントン大統領就任 細川護煕ら日本新党結成 政界流動化 都市銀行21行の不良債権 12.3兆円 毛利さん宇宙へ バブル崩壊。
第26回(1996)アトランタ大会 有森連続メダル「自分を褒めたい」 チャールズ皇太子ダイアナ妃離婚 橋本龍太郎内閣発足 ペルーのゲリラ日本大使館襲撃占拠 東京三菱銀行発足、民主党結成(鳩山由起夫 菅直人)。
第27回(2000)シドニー大会 田村、井上、高橋金、国民栄誉賞 米ブッシュ大統領就任 小渕首相急死、森内閣、自公連立 沖縄第26回サミット ロシアプーチン大統領就任。
第28回(2004)アテネ大会 北島、野口金女子マラソン四大会連続メダル獲得 米ブッシュ再選 北朝鮮六ヶ国協議、拉致被害者家族帰国 参院選民主躍進二大政党へ イチロー最多安打大リーグ記録更新 韓流ブーム 振り込め詐欺。
第29回(2008)北京大会 北島連続二冠 女子ソフトボール金 リーマンショック 世界同時株安 7162円 オバマ大統領選挙勝利 福田首相退陣 麻生首相就任。
第30回(2012)ロンドン大会 日本メダル38個史上最大 プーチン大統領再選 エリザベス女王即位60年 東京スカイツリー開業 東京駅復原工事完成 尖閣諸島国有化で日中関係悪化 山中教授ノーベル生理学医学賞 笹子トンネル天井板崩落 オバマ再選 衆院選自公圧勝 野田退陣 第二次安倍政権。
第32回(2020)東京で二度目のオリンピック 会場も決まり、インフラの整備、競技施設、お台場カジノ構想もあり、湾岸地域は大きな変貌を遂げることが予想されます。五輪を成功させることは勿論ですが、開催後もまちづくりは推進されなければなりません。
有明には四競技施設が建設されますが、バレーボールの有明アリーナ以外は解体後土地を売却しないと東京都としてはまちづくりの採算がとれないそうです。先日、江東区長が五輪後のロンドンを視察され、帰国後、2020東京五輪をにらんで、競技場を上空から見下ろせるロープウェイを汐留から豊洲まで建設する構想が浮上していることがヤフーニュースに出ておりました。「東京の上空を100米の高さから見下ろすロープウェイがあったら、一度は乗ってみたいと思うだろう」と述べたそうだ。五輪後も新名所として賑うことでありましょう。これは素晴らしい構想であります。
東京都としても、もっと広く募れば、土地を売却しなくても、五輪後も素晴らしい記憶を残し、しかも採算のとれる構想が企画できると信じ、夢を未来に繋ぐことに致しましょう。
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