2023.05.11
木材の用語半製品 (フリッチ)
半製品 (はんせいひん)・・・
社会に出て初めて聞いたこの言葉、「何のことですか?」と先輩に聞いても明確な返事は無かった
やっとわかったので、解説 (私見です)
木材を、山に生えている、切り出したものが、丸太
丸太を、長さをそろえて (玉切り)、検数 (材積計算)、格付け したものが、原木 (これも丸太?)
原木を、ざっくり製材したものが、半製品
半製品から、欠点を取り除き、規格寸法に再製材したものが、製品
どうですか、合ってます?(原木が生えているとは言わないし)
で、この半製品、ほとんどが 幅込 (ワイダー WDR Wider) です
国産材のスギ・ヒノキでは、幅込の商品・流通量が少ないので、半製品という言葉自体あまり使われない、知らない人が多いのも うなずける
※いわゆるタモ・ラワンやスプルースの板の平割は、半製品
※カンナ掛け (プレーナー Planer)しているかどうかではありません
カナダなど原産地の製材工場の仕事を守るため、丸太での輸出が禁じられている国があり
なるべく丸太に近い形、要は半製品での輸出をすることがある (規格 Regulation で最大断面サイズが規制されている)
原木・半製品=原料 ともいえる
どうやら、北米輸入材でいうところの フリッチ (Flitch) を訳した用語のようです (私見です)
フリッチを大中角 (厚さ 120mm以上の盤) の訳語と思われている節もありますが、30mmの板もフリッチであることから、間違いです
木材の等級も、製品等級・半製品等級 (再製材用等級) と有ります
針葉樹 (Softwood) 半製品等級 は、節の具合で、良い方から
CLR (Clear)、 A,B,C,D (R-List)、#1,#2,#3,#4 (N-List)
表面で等級を付ける (Face Grade) 再製材歩留まりは考慮しない
最近 インダストリアル クリアー (Industrial Clear) を聞かなくなった、どこ行った?
FF (Factory Flitch)、100mm 以上の厚さの時の呼び名
SHOP (Shop Flitch)、100mm 以下の板類
1″ x 2′ longer に再製材しての、無節歩留まりで、50% 以上 (長さでリカバリー%が変わる)
(特に表記されないが、#1,#2,#3 とある)
Merch (Mer, Merchant)、#1,#2,#3 (N-List)並材
WANE (丸み) で 仕分けるが、ほぼ#3 BTR (特に表記されない)
Com (Common)、#1,#2,#3 (N-List) 並材
#3 COM (スリーコン) は、Utility (UTIL)
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#1,#2 (A,B) は込みで、#2 BTR (Better) 表記、またはCLRは #3 BTR とすることも
#4 CLR/ FF と、#4 (D), FF を込みとすることも
#0 を、Select (セレクト) 表記することもあります、”A” の前が無いからか?
まちまちなので、読み解く力が必要
FF の、ファクトリー (工場) は、断面が大きく、重たいので、工場で再製材するので、Factory (製材所)
SHOP は 手で持ち上がるので、ショップ (小売) で加工できるサイズ
Merch (マーチ 3月 Marchではない) は、業者・商人 の Merchant (マーチャント) の省略形
面白くないですか?
Common コモン・コンモン は直訳で一般材・並材
米ヒバのラフ土台は、#2 COM BTR (本来)
広葉樹 (Hardwoodハードウッド) の 半製品等級 (AHEC: American HW Export Council)
基本 板材 (4″ 以下)
FAS/1F (First and Second/ one Face ファーストアンドセカンド、ワンフェイス)
一面、セカンド (小節) 以上、針葉樹のCLR 相当
Common 針葉樹にもあったが、一般材、No1,No2、No3
No1, No2 これは、針葉樹の SHOP に相当
No1 は、6″巾 長さ4’以上の 無節 歩留りが66%以上
No2 は、小幅 3”巾 長さ2′ 無節 歩留りが50%~66%
さらに、この後、樹種によっては、 A,B と続くことも (No2A, No2AC = No2 A Common など)、長くなるので割愛
No3 (Common)も、アル、まあ 針葉樹もそうだが、Utility みたいな・・・
他に
Select (セレクト) No0 (Zero) Common 相当 (工場によってあったりなかったり)
Prime (プライム) FAS/1F で、WANE (丸み) の許容が緩いとか色々(工場によってあったりなかったり)
広葉樹は、ちょっと詳しい人に聞いて欲しい
製品とは、(長さを切って) その断面のまま使えるもの
製品等級は、Dimension (2X4) 準拠
STD (Standard)、まあ並材 2X4の No1,No2 STR (Structual) 相当
No3 は、UTL (Utility) と混ぜこぜにしたり
米ヒバの削り(S4S)土台は、STD (プレーナーして格付け After Grading の場合)
いつ カンナ掛けしたか、人工乾燥 (主に KD) したか、格付けしたか、その順番が結構大事
STANDARD は、材木屋は「並材」と訳してしまうが、一般的には「基準・標準」と訳される (JAS の “S” は、Standard の “S”、標準規格の意、日本農林規格)
カナダ沿岸最大手の企業のラップに「DEFINING A HIGHER STANDARD™」とプリントしてあるが、”HIGHER STANDARD”で、高度の行動規範・最高水準(直訳)
“DEFINING”は、定義の意なので、AI によると「最高水準の行動規範を定めている」
トレーマークとして、登録できるんですね
東京木材問屋協同組合の「木力®」は、™トレードマーク (出願)から、®(商標登録) に登録されています
海外での等級付けでの要因としては、初めに割れ、次が丸み、その次が節だったり
ぼーっと見ていると、割れを取るのに、どんどん長さが詰まっていってしまう (短くしてしまう)、再製材することを考慮しない
国内では、輸入材を含め、JIS等級、独自等級 (商社・地挽屋が勝手に考えた等級を含む)と、乱立しており、同じ等級でも別物だったりする・・・ 格付けする工場の癖、グレーダーの癖も考えねば
もちろん原木の生えていた産地要因が一番ですが・・・(良い丸太を製材すると厳しくなりがち、逆もまたしかり)
※地挽屋とは、産地で原木を購入して生産地で賃挽き、独自の看板 (マーク) を付けて販売する業者のこと
今風にいうと、国内外を問わずカスタムカットする業者のことです
グレードをあまり気にしない、モノを見て、自分の経験値を上げて判断しましょう (目利きになれってことです)
まーちゃん