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2021.07.08

情報・趣味

温泉露天風呂と木材

温泉旅館に泊まると、その施設の露天風呂が楽しみである。
そこには東屋が立ちその下でかけ流しの湯が視界を遮るほどの湯気を立てている。その東屋の四方には、檜ヒパの八寸はあろうか丸柱が支え立ちしている。

眼を移せば、庭に季節ごとに花咲く木々が形よく植えられ、湯而に身体を沈めれば、いっそう旅俯を掻き立てるのである。大きめの媒天風呂になれば、真ん中にも東屋を支えるがごとき、丸太がでんと構えて立っている。
しばし湯を楽しみ、目を閉じるやがて静かに瞳開けるに、その丸柱が湯けむりの先に飛び込んでくる。旅館の主が腐らないものでと、ステンレスや樹脂の柱で造ってある処もあるが、旅情にそぐわないものがある。
岩風呂と称しごつごつと大小の岩を配し、中ほどに湯の滝を施し自然観をだしたものもあるが、その脇背後は樹々で柔らかさをだしている。
丸柱が風雨にさらされ、湯気に染み込まれ永くもたないことは承知であるが、旅とはこころである。また来ようと思うものは木々の感触やさしさであろうか。露天風呂を造る親方も職人も樹を用いることを当たり前のごとく想像していく。
日本の旅文化とともに媒天風呂に木材は共に永く生き続けている。木材の持つ不変のやさしさは、これからも愛され続けられるだろう。

時之栖(ときのすみか)天空の湯

または、どっかでとった風呂


寄稿:BORO

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