木材には人と同じように個性があります。
木材の個性、その第1は「天然の生物素材」であること。そのため樹木の種類や育った環境、樹齢はもちろん、同じ丸太から製材した一枚板でも、様々な特性や表情に同じものはひとつとしてありません。日本人は、そうした「木材」の特性を上手に組み合わせることによって、約1400年の歴史を経て、今なお建ち続けている「法隆寺」など、世界に冠たる木造建造物をつくりあげました。
木材の個性、その第2は、「調湿性」があること。木材は、室内の空気が乾燥してくると蓄えていた水分を空気中に放出し、逆に湿気の多い時期には、空気中の水分を吸収します。人々が快適に暮らせるよう室内の湿度をコントロールする天然のエアコンの働きをしてくれているのです。「木材」の特性を活かして建てた木造住宅が日本の風土に調和するといわれるのもそのためです。
一方で、節があったり、色や木目が揃わなかったり、伸びたり縮んだり、割れたり曲がったりといったことも、木材に個性があるからこそ。高度成長期などには、質よりも量を重んじ、廉価、スピード、施工性重視で、これらの木材の個性が「短所」とされる時代もありました。
しかし現代では、様々な特性や表情を持つ木材を組み合わせてこそ、地震や災害に耐える強い建物ができる。世界に1つしかない表情を持つ「住まい」ができる。「木材」から発散されるフィトンチッドという成分が癒やし効果をもたらす。「木を育て、使い、植える」という循環が自然保護に繋がり、地球温暖化や環境破壊を食い止めることができるなど、木材は「古くて新しい素材」として注目されています。