針葉樹
サワラ(椹)

ヒノキ科Chamaecyparis pisifera

サワラの生育は主として本州及び九州だが、熊本県周辺を南限とし岩手県花巻市が北限で北海道、四国には生育していない。
木曾谷、伊那谷、赤石山系の千頭水窪、秩父、塩原、飛騨七宗山等の山岳周辺の渓流沿いに純林の形成が見られる。
サワラはヒノキから香りと光沢を抜いたような感じの材質をしています。サワラの樹名は「さわら(サッパリとした)」からきています。樹高は35m、直径1mくらいになります。
方言ではヒノキとも呼ばれることもあり、関東北部では生け垣にされて、糠目のヒノキという意味で「ヌカッピ」と呼ばれます。九州ではナロといったりナロヒともいったりします。サワラは白太は白色、赤味はくすんだ薄い黄褐色で、見た目にはヒノキに似ていますが、杉に近い性質で、日本の針葉樹の中では最も軽い木材です。
乾燥も極めて容易で割裂は簡単にできます。削り加工は楽ですが、仕上げの程度は中庸といったところで美麗さはありません。
特 長
心材の色:帯黄淡褐色
辺材の色:白色
心・辺材境界:明瞭
斑の模様:不明瞭
硬さ状況:中庸
鋸挽加工性:容易
鉋掛加工性:容易
腐食耐久性:強い
磨耗耐久性:中庸
糊付接着性:良好
乾燥加工性:容易
主用途
サワラ材の用途は飯台、飯櫃、水桶、タライなどに使用されます。飯台はサワラの吸湿・放湿性がよく水分による変形が少ない性質を利用したものです。水湿に強く小判型の家庭用風呂桶は有名です。軽くて狂わないので漆器の下地材、計量器、張板に使われます。
宮用材、葬祭具、下駄、曲輪っぱ、酒樽の栓、経木、かまぼこ板、漁網の浮子木型材、模型用工作材、彫刻材、炬燵の櫓和家具、仏壇などに広く使われます。しかし、この木は量的に少なく建築には、天井板、長押などの装飾材としては使われますが、構造材には材質が柔らか過ぎて、使われた例はあまり見られません。襖の中の木材が見えない建物の中桟には、材質がおとなしいので狂いが少なく好評です。障子のように材面を露出して使用する物には擦り減りやすいので不適当です。
樹皮はヒノキのように檜皮葺き(ひわだぶき)に使われます。槇肌(まきはだ)にも使いますが、コウヤマキやヒノキに比べて止水性能が多少劣ります。家具材として軽い材質を生かし桐タンスの内裏側の見えない部分に使われたりしています。
サワラ